輸出入取引、何が重要?

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国内取引と海外取引の違いは何でしょう?
言語、為替、支払方法、商習慣、ハード/ソフトインフラ、ビジネスモラル、仕様、輸送費用、輸送方法、関税、法的な規制など国内とは違ういろいろな面があります。 
それを考慮したうえで商品の輸出入を行う場合、自社としてはできる限りのリスクのヘッジ(回避)を行う必要があります。
経験上、当社では次の優先順でリスクヘッジの為の取引条件の重要度を設定しております。

 

支払条件

海外との取引においては取引先の内容が分からずに取引を進めることは非常に危険です。ただ、先方の会社の詳細を調べるにはコストや手間がかかります。では、そのコストや手間をかけないで出来るだけ安全に取引を進めるにはどうしたらいいでしょうか。
それは、お金をできるだけ自分のところに置いておくことです。
例えば輸出の場合、支払条件は前払いが前提条件、それが海外の顧客に受け入れられなければ取引をしないという選択肢も入れるべきです。最悪の場合もL/C(at sight)で入金を確実にしておくべきです。逆に輸入の場合は、海外の輸出業者からの商品を入手してから送金するか、最悪でもL/Cを組んで支払条件として商品の確認後にすることがベストです。輸出の場合、まともな海外のお客さんは前金で支払ってくれる場合が多いです。問題は輸入の場合で、海外の業者は、少なくとも最初の取引では、必ず前金での支払いを要求してきます。それをどうやってこちらに有利な支払条件を受け入れさせるかがポイントです。取引金額が大きければL/Cという手もありますが手間(=コスト)がかかり少々面倒です。またL/Cの条件も交渉しなければならないのでなかなかむずかしいです。 

 

価格
輸出の場合、まだ本格的売買契約を結ぶまで行っていないときはまず見積書を提出します。その見積書に支払条件、仕様、価格、納期など必要事項を網羅します。気をつけるべきはどの為替を使用するかです。為替交換比率は日々変化します。通常テレビなどのメディアで発表される為替は、中値(TTM)というまん中の数値でUSドルの場合は、輸出(TTB)の場合と輸入(TTS)の場合で中値から 1円ずつそれが振れます。例えば発表の中値が¥80/USドルの場合、輸出時は¥79円、輸入時は¥81となります。
ユーロは、1.5円ずつ振れます。また取引条件によっても価格設定が変わります。製品を何処の時点で渡すのか。FOB(国内港渡し)なのかそれともCIF(輸出先港渡し)?、またはそれ以外? それら以外にもいろいろな条件を考慮して価格計算をお勧めします。

 

納期
輸出の場合、余裕を持って見積もりをしてください。海外への輸送は予想外のことがよくおこります。取引条件により何処で商品を手渡すかが違ってきますが、C&FやCIFで先方の港(空港)渡しの場合、船(航空便)の予約や通関など国内では必要の無い手間がかかります。輸入の場合は業者から見積書を入手する際に本当にその納期が可能かどうか確認するべきです。よくあるケースですが、新興国との取引では、先方の港(空港)についてからの指定先までに思ったより時間がかかることがあります。FOBやCIFベースなら問題ないのですが、中にはDDP(関税支払い後相手先着)を要求してくる海外のお客さまもおりますので納期設定には気をつける必要があります。 

 

仕様
輸出する製品にもよりますが、仕様の確認は綿密に行ってください。よくあるケースで口頭でお客さまに確認しそのまま進め輸出したらクレームを受けたというケースです。
必ず文書(メールの履歴もOK)で証拠を残しておいてください。当社も機械部品を海外のお客さまに輸出することが多いのですが、仕様に関してはしつこいほど前もってお客さまに連絡し確認ます。特に免責事項に関しては念入りにメールなどで説明します。
最近あったことですが、イギリスのお客さまに当社がメンテを請け負っている機械の制御盤内にあるロボットコントローラーの代替品をを送付することになったのですが、何回確認してもどうも既存のロボットコントローラーの故障原因がよくわからない。システムの問題なのかメカ的にどこか破損しているのか?本当にこの部品の問題なのか?お客さまの電気技術者がそう言っているというのみ。当社としてはこのロボットコントローラー自体がすでに生産をストップしていて手に入らない。在庫は少々ありますが、このお客さんの機械自体据え付けて稼働し始めてから13年経ち一度もオーバーホールしていないので、当社としては、こちらから技術者を送ってオーバーホールをさせてくれればそこで既存のロボットコントローラーを修理してしまいたい。そうすれば新しいロボットコントローラーを送る必要がない。でもオーバーホールにはコストがかかりすぎるのでお客さんはOKしない。ということで、このロボットコントローラーについては、プログラムをインストールして送りますが、設置とオペレーション作業はお客さんの責任ですよという条件で取引しました。

 

ちなみに各国のおおまかなビジネスの特徴を以下にまとめてみました。
何かのご参考になればと存じます。

 

各国市場の特徴

 

北東アジア:

 

韓国

韓国の市場はまだ閉鎖性があるように感じます。
当社が扱っている緑茶は、韓国へ緑茶として輸入しようとすると輸入価格の5倍近い関税がかかります。その他の製品、商品に関しても輸入関税がかかりますのでまずレートを確認することをお勧めします。
また、B to Bベースでは、韓国の大手企業の製品に日本の部品が数多く使われていて両国間の貿易収支はいつも日本の黒字ですが、中小企業レベルの完成品の輸出となるとなかなかそうはいきません。仕様や価格に関しての先方からの要求も厳しいものがありますが、やはりコピーされる恐れが高いということがあります。
また、韓国の特徴としては労働争議の多さが挙げられます。
双竜自動車などはその典型です。
2005年に中国の上海汽車集団に買収されましたが、労使関連の問題があり上海汽車がその問題で嫌気をさしたことで資金を止めたため2009年1月に破たんしました。

 

台湾

台湾では日本の製品への信頼度は高いのですが、2,300万人という人口と成長率が頭打ちということもあり市場自体がそれほど大きくなく魅力的ではないように思えます。
ただ、台湾企業は多くが中国本土に進出していてそういった企業向けへの輸出ということであれば有望になります。

 

中国

やはり日本製品に対する信頼は厚いです。
特に子供が利用する食品や衣料などに人気があります。
日本の製品は、安全性が高く、子どもたちに安全なものをと考えているからでしょうか。
中国人から、“私は日本人になりたい、なぜなら安全な中国食品が食べられるから”と言われたこともあります。
価格的には、日本の製品は中国製品に太刀打ちすることはほぼ不可能です。中国の国産製品で何でもまかなえます。ならば何で勝負するか?
やはり品質、安全性、独創性、付加価値性など中国の企業が真似できないものに限られます。
また、初めて中国市場へ参入をお考えで先方にコネがない場合は、やはり一般に言われるように香港や台湾の本土の市場が分かっているパートナーを探すのがベターです。

 

香港

KwaloonのTsim Sha Tsuiに行くと道路に沿って長いショッピングモールがあります。ブランド物の店やホテル、そして高級スーパーなどどちらかと言うと富裕層をターゲットとした店が入っているショッピングモールです。ここのスーパーに行くと日本産のいろいろな食料品を売っています。
例えば日本産のマスクメロンですが、先日見たところ日本円でおよそ4,000円ほどでした。
香港は中国本土の新興都市深センがある珠江デルタに近く、大手企業の工場が多くあります。最近(2010年5月)では珠江デルタ地域の賃金が半年で17%上昇=生産コストを4~6%押し上げたという情報があります。
ということは、製品コストも上がることとなりここで生産された製品の価格競争力も以前と比べて弱まります。
現在では、珠江デルタ以外の中国都市部でも生産コストが上がってきております。
工業製品やその部品などは品質に競争力があればまだまだ」日本製品の市場は大きいです。

 

東南アジア:

 

シンガポール

シンガポールは、現在人口が400万人。国の政策として移民を積極的に受け入れています。香港へのライバル意識が強く香港の人口700万人を意識しているようです。
シンガポールに出張するといつも思うのは、活気があるということです。
やはり失業率が2%戦後ということもあるからでしょうか、どこに出かけてもそうですが、特に飲食店のにぎわいは日本では味わえないものがあります。昨年、シンガポールの中心地にあるオーチャード通りとスコット通りの交差点の角に大きなショッピングモールができました。ここも地下鉄などからのアクセスの良さもあり毎日のように込み合っています。
モール内には、日本の居酒屋、雑貨屋、ラーメン屋、たこ焼き屋など多くの日本関連のお店が入っておりほとんどが食品関連です。
やはりこの国では日本食が輸出のキーワードになるようです。

 

インドネシア

基本的にインドネシアの為替、ルピアは何十年も円に対し下がり続けています。
また、インドネシアの輸入関税も総じて高くなかなか日本からの製品の輸出は難しいと言えます。
首都ジャカルタに住むインドネシア人の平均給与は、月15,000~20,000円ほどで、日本製品の購買能力はあまりないと言っていいです。
逆にインドネシアから日本への輸入となると非常に安く手に入るものがあります。
ただ何を輸入するかが問題です。やはり原材料でしょうか。鉱物類や木材などは大手企業が手掛けてしまっているので、食品関連の原材料などが有力かもしれません。キャッサバ(タピオカ)などの農産品や水産物関連はまだまだ開拓の余地があります。
ひとつ問題としてインドネシア人の英語の能力があります。他の東南アジアの国と比べて取引で英語を話せる人材が少ないことは確かです。その点注意する必要があります。

 

マレーシア

基本的にインドネシアやシンガポールと同じく華僑がこの国の経済を動かしています。
イスラム圏なのでアラブ諸国との繋がりもありビジネスの取引も多いようです。
シンガポールやタイともそうですが、日本はマレーシアとEPA(Economic Partnership Agreement)を結んでいて両国間の関税の撤廃や削減などの政策が取られています。
その為輸送機器のパーツ関連製品などは、以前は現地調達したほうがコスト的に有利だったのが、関税が安くなった分、日本からの輸入が現地調達と比べてコストがかからないという事実もあります。

 

フィリピン

やはりこの国の一番の強みは、英語が公用語となっていることです。政治的にいろいろと問題があるのは確かですが、海外貿易に関して言えば、やりやすいと言えます。
フィリピンの最大の輸出商品は、“人”です。英語が分かることもあり中近東や欧米、日本などに現地での現場作業やメードとして雇われることが多くそれが国の貿易収支に大きく貢献しています。
日本からの輸出としては、中古自動車などがありますが、輸入許可証の取得など規制があります。

 

タイ

政治的にいろいろと問題があり、それが海外取引にも影響しております。
当社の緑茶輸出ビジネスも2010年5月の暴動でバンコク市内の顧客としばらくの間連絡が取れなくなりました。暴動が収まった後も消費が回復せず、こちらからの輸出に影響がでました。
以前バンコクの日系スーパーの責任者から聞いた話ですが、タイは地理的に日本と南アジアや中近東との中間にあり、中継地点として優れているとのことです。
特にインドへはバンコク経由で日本の食品が輸出されることが多くなっております。
タイへの輸出は、その先にあるインドなどの新興国も視野に入れて戦略を考えるべきです。

 

インド

人口から考えるといずれは中国を抜き世界一になります。ただ、ハード、ソフトを含めた社会インフラがまだまだですが、IT関連のソフトインフラは英語が公用語ということや、理系の優秀な人材がいることもありITソフト関連の事業は有望です。当オルビズもインドのウェブ関連業者に英語のホームページの作成や海外向けSEO対策など輸出販促に仕事を依頼しております。また、将来的なマーケット規模を考えるといろいろなコネクションを持っておくのも必要と考えます。

 

北米:

 

海外市場としてのアメリカやカナダはアジア市場の拡大もあり日本にとって年々比重が小さくなっているように感じます。しかしやはりこの市場はまだまだ日本にとって大きな市場です。現在USドルが円に対し下がったりアメリカの失業率が10%近くで購買意欲が下がったりと北米への輸出はマイナス面が多いのですが、日本製の特徴である品質、安全性などを売りにした製品であれば、まだまだマーケットはあります。
例えば日本製食品の例としてこのようなものがあります。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/401581/
輸入面では円高もありフォローの風が吹いています。機械工具関連では、EV用のパーツやITのハード関連パーツや周辺機器などまだまだ優秀な企業があります。

 

ヨーロッパ:

 

主にここでは、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアのEU主要国を対象とします。
ギリシャ財政危機を発端にスペインやハンガリーの放漫財政が明るみに出てからユーロの価値が下がっており日本からの輸出に大きな影響が出てきています。
また、EU外からEU内への輸出にはVAT(付加価値税)が掛けられる場合がほとんどで、多くの製品に20%前後のVATが輸入時に掛けられます。それが、EU内貿易を守る結果となっています。
日本からの輸出はやはり日本製というメリットを最大限に生かす必要があります。例えば日本にしかないもの。当社では緑茶を輸出しておりますが、”日本製“の緑茶ということで高価ですが、他国からの緑茶と差別化することによって顧客の信用を得ています。
近年フランスなどでは日本ブームということもあり、日本のポップカルチャー関連の商品(マンガやファッションなど)が売れています。こういったものは他の国や地域では真似できず輸出対象としては良いのではと思います。

 

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