韓国取引企業の倒産事件
およそ十年前に私の所属していた外資系の音響機器メーカーが韓国企業数社と取引していました。
そのうちのA社、従業員200人ほどのソウルの郊外に工場がある音響機器メーカーであった事件です。
私の会社がこのA社にあるタイプのオーディオ機器をOEM生産させ北米、ヨーロッパで販売するために数千万円の
金型の投資をしました。このA社については私が担当だったためにその後の金型の製作、そしてその金型からのオー
ディオ機器の量産までコーディネートすることとなりました。
さて問題はこのA社の管理体制です。
まず社長と会いましたがいかにもワンマンで、専務以下をあごで使っているような会社でした。
月一くらいのペースでソウル郊外のA社工場へ通い、社長や担当者と打ち合わせをしました。
金型代を振り込んだ月末、A社の専務から電話があり会社が倒産したとのこと。
噂はあったのですが、まさかこんなに早くとは。社長は逃げて見つからない。
ではどうするか?
とにかくA社へ行くしかない。
電話の翌日私と私の上司を含めた数人で成田からソウルへ。そしてA社の工場へと向かいました。
工場に着くとそこで見たものは工場の入り口で工場をロックアウトしている何人もの若い女性の工員でした。
話をしてみると工場内には専務と私の会社のプロジェクト担当者がいるとのこと。
中に入りたいと言っても女性たちは、入れさせてくれない。
いろいろと説明しどうしても責任者と話す必要があるというとやっと入れてくれて工場内で専務と会うことができま
した。
専務は、やはり若い女性たちに囲まれて韓国語で吊るし上げられていました。
何か日本では考えられない光景です。韓国では労働組合が強いと聞いていましたがこんなだとは。
私たちは、自社が投資した金型代を返却してほしいといいましたが、専務の話ではとてもそんなことはできないした
とえ金があってもどこにあるのか分からないし引き出す権限も無い。全て社長が持っていってしまったとのこと。
ここでやっと理解できたのですが、どうも倒産は計画的だったようです。
社長は、雲隠れして責任は全部専務におっかぶせ自分は多分会社の金を持って行ってしまったようです。
投資した金型代はもちろん返ってきませんでした。
非常に苦い経験でした。
ここでの教訓は、資金を投資する際は、会社の業績だけでなく(実際、A社は業績はそんなに悪くなかったです)投
資先の経営者を見抜くこと。”見抜く”とはまずその経営者は正直か、こちらの質問に対しうそをつかないかという
ことです。
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